2017-03-28から1日間の記事一覧

石川信雄『シネマ』Ⅱ (モダニズム短歌)

・嬰児(みどりご)のわれは追ひつかぬ狼におひかけられる夢ばかり見き ・黒ん坊の唄うたひながらさまよつた街(まち)の灯(ひ)のくらさ今もおもはる・すばらしい詩をつくらうと窓あけてシヤツも下着もいま脱(ぬ)ぎすてる ・あやまちて野豚(のぶた)らのむれに入…

斎藤史『魚歌』Ⅲ (モダニズム短歌)

・夜毎(よるごと)に月きらびやかにありしかば唄をうたひてやがて忘れぬ ・たそがれの鼻唄よりも薔薇よりも惡事やさしく身に華やぎぬ・夕霧は捲毛(カール)のやうにほぐれ來てえにしだの藪も馬もかなはぬ ・定住の家をもたねば朝に夜にシシリイの薔薇やマジヨ…