2018-07-21から1日間の記事一覧

春  左川ちか  (詩ランダム)

春 左川ちか 亞麻の花は霞のとける匂がする 紫の煙はおこつた羽毛だ それは綠の泉を充す まもなくここへ來るだらう 五月の女王のあなたは 『MADAME BLANCHE』第7号 昭和8年(1933年)6月 左川ちか 雲のかたち左川ちか 白と黒左川ちか 花咲ける大空に左川ちか …

蜻蛉  井上多喜三郎  (詩ランダム)

蜻蛉 井上多喜三郎 靴みがきの大將は お天氣にまでブラシをかける 〈僕の足趾をとらへると のんきに口笛をふいて〉 スツールのまわりで いつも 香を噴く新英ら となりの花屋が頰に映つて僕を離れるネクタイでした。 ※原詩では、「映つて」の「映」→「うつ」…