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小笠原文夫『交響』Ⅰ (モダニズム短歌)

・並びゆく少女がともの足揃ひ一様になびくすかあとの襞 

・嬬(つま)さびて今はあらめとおもひつつ少女すがたは眼に浮ぶもの  
          

・いまにして忘れがたかるひとのありわすれてしまへと首うちふりつ 

・ギリシヤ型の顔を少女が拭きたればへリオトロオプが清しく香へり

・ボイルのカラアすずしく搖れなびく少女の衿はなめらに細き 

・カツプルで歩いてをれど妻でなし愛人でなしけれどたのしも

・外人の子供とはなす日本語はなにか矛盾におもはるるなり 

・洋館の窓があけられ朝はやしピジヤマの少女が挨拶をせり 

・わが肩にくびもたせかけし異人むすめ搖るる横毛はふさふさとせり 

・そつと來ていきなり肩をたたくほどの浮きたる心持てとおもふに 

・つめたさにすぐる少女の沈黙をゆりうごかせどものいはぬかな 

・はなやかに立ちふるまはぬひとなればわれも黙りて一緒にゐるなり

・閉ぢし眼のまつ毛の長き子を抱くこの瞬間のこころあやしき 

・後れ毛がすこし亂れてなめらなる耳のうしろは綺麗すぎるなり

・しみじみと見れば少女のやはら耳お菓子のごとくたべて了ひたし 

・うつくしきひと等の話は眼を閉ぢてにほひと共にきくべかりけり

・ふわふわと天空をわれは飛びゆきて美貌の少女につき墮とされぬ 

・灰ざらのけむりのなびき見つめつつうつけ心をそのままにをり

・ひとりゐておもふはさみし朝顔のよごれし花を摘みとりながら 


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