中田忠夫  (モダニズム短歌)

 

・さるにても遠き月日よあまざかるIRANの空に馭者座(カペラ)がまはりし 

・遠くにて銀河のめぐる夜々(よよ)となり魚(うを)の目玉にガラス植ゑらる 

・牛追へば白き月いでぬ郷愁よ樹々を吹く風に言葉はならず

・かぎりなく散るは鱗翅か秋なれば窓に硝子の波紋もみえくる 

・野の果てに石(いは)のごとくに棲みついてもう明け暮れに悔いさへもない 

・十月の空の深さの下ゆけば君の日蝕晝の星でる

・地下室に薔薇花(ばらばな)うゑよひんやりと壁にあなたの溜息かかる 

・驟雨(スコール)は海から襲ふ構へなり國際市場に赤い旗でる 

・世界は今なべて夜なれば嵐ゆく闇のなかなり音のみきこゆ

・遠くから軍馬の列の近づけばすでに地獄のうたごゑあがる

・娘らの微笑はいつも羚羊の跫音(あしおと)のやうに臆病なりき 

 

 

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