聖夜  山中富美子  (詩ランダム)

聖夜

         山中富美子

 

海のピアノ、冬の月光の曲、

透明なオーケストラ
東洋風な燭臺、

ペツトの月よ、弟よ、
おまへが黒い瞳を閉ぢる様子、

おまへは思出の椅子による、
黑衣の胸に手をおいて、はげしい情熱で。

壁の後におまへは立つてゐる、
夜がそれをみせぬ、恐怖のマンドで。

冷たい焰はもえあがる、
舞臺風なすがたで、おまへは翼をかくす。

死と呼ばれる魂の傍、そこによりそふ夜よ。

 

 

 

「マンド→マント」か?『詩抄 1』(椎の木社)のデジタル版からなのだが、「で」の濁点の間には空間が見えるが、「ド」にはそれが見えない。紙の混入物か。

 

 

『詩抄』(椎の木社 1933)

 

 

山中富美子 思出

山中富美子 海岸線

山中富美子 姿勢する

山中富美子 睡眠

山中富美子 園の中

山中富美子 沈默

山中富美子 夏の一頁

山中富美子 夜のイニシヤル

山中富美子 夜の花

 

 

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