朝のトレエニング
中村千尾
ガラス窓に卵形の雲が浮んでゐる
それは白いお皿の上のパンよりも美しい
スプンの中でころがしてゐると
やがてクリイムの様に溶けてしまつた
おしやれなチユウリツプの鉢は
赤いマンキイハツトをかぶり
風に吹かれながら
コロラチユラで春の挨拶をする
四角いエンベロツプのドアを開け
クリヤアな友の手紙を讀む
ピンク色の切手の様に
私は小さな友情を愉快に思ふ
『現代女流詩人集』(山雅房 1940)より
中村千尾
ガラス窓に卵形の雲が浮んでゐる
それは白いお皿の上のパンよりも美しい
スプンの中でころがしてゐると
やがてクリイムの様に溶けてしまつた
おしやれなチユウリツプの鉢は
赤いマンキイハツトをかぶり
風に吹かれながら
コロラチユラで春の挨拶をする
四角いエンベロツプのドアを開け
クリヤアな友の手紙を讀む
ピンク色の切手の様に
私は小さな友情を愉快に思ふ
『現代女流詩人集』(山雅房 1940)より