白い Cabin  饒正太郎  (詩ランダム)

 

白い Cabin

          饒正太郎

朝の海岸は梔子(くちなし)の香でいつぱいだつた。
私は向日葵の咲いてゐる丘で海を呼吸した。


ああ、
透徹(すきとお)つた幻想の中で白い花瓣(はなびら)が穹中(きゆうちゆう)へ陥落する。


私の記憶の航海は一枚の悲しいハンカチーフに戀をする。


海の血緣者は海から細長い風景を引出す。


熱狂と白痴を生み出したこの海は神に向つて合掌する。


Chorusが聞えて來るとこの漁村に洋燈の花が咲く。


靑い染のついた帆船には星が落ちてゐた。


海の鋭い凝視は私の虛言を魚の様に捕へてしまふ。


私の腦髓は激しい海の香に侵されてしまつた。
私は眞白いCabinの中で昏倒してしまふ。

 

 饒正太郎 苑の周圍

 

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