雪  澤木隆子  (詩ランダム)

 

          澤木隆子


いたく初雪の積つた晩
消えがてのピアニツシモは鍵にふるへて古風な情緒を呼び


冷えてくる體内(からだ)に


 何かあはれなよろこびの如きもの漲り
 白い その雪の葩(はなびら)に埋れて
 こんこんと眠つてしまつた。

 

 

 

 

 

『Rom』(紅玉堂 1931)より

 

 

 

 

 澤木隆子 記憶
澤木隆子 心
澤木隆子 額のばら

 

 

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