育つ夢
莊原照子
エリカの髪に頰を寄せて、わたしは白い垣根に別れを告げた。沙丘のその果てに夜の落葉がふるへてゐるとき、あなたのマントはどんなに長く地をはらつて行つたらう。けふわたしの指に唯二つ光つてゐる外米。どこか遠い星の蔭にゐて、ああエリカ……君はぼろぼろと匂ひこぼれる寶石をなほ美味と呑んでゐやう。
『現代女流詩人集』(山雅房 1940)より
莊原照子
エリカの髪に頰を寄せて、わたしは白い垣根に別れを告げた。沙丘のその果てに夜の落葉がふるへてゐるとき、あなたのマントはどんなに長く地をはらつて行つたらう。けふわたしの指に唯二つ光つてゐる外米。どこか遠い星の蔭にゐて、ああエリカ……君はぼろぼろと匂ひこぼれる寶石をなほ美味と呑んでゐやう。
『現代女流詩人集』(山雅房 1940)より