Mon cinematographe bleu 山田一彦  (稲垣足穂の周辺)

 

Mon cinematographe bleu

           山田一

蟹のやうな私の叔父さんが白百合の花を片手にささへて靑い錨で海に沈みますが浮きあがると浮袋をつけた私の妹になつて居るのですが 諸君べつに不思議ではないでせうね OEDIPE ROI には母親が自分の籠の娘たちを抱いて居るのですもの それもかすかな話ですからね もう發狂して盲になる必要もないと思ひます ですから私は碧い花辨の義眼をはめてコメデイアのシネマを作るのです それはもうイエルサレムの月に退屈した蟹の虹色の泡を吹いて白百合をささへる姿です

 

 

 

 ※「OEDIPE ROI」=「オイディプス王


『衣裳の太陽』NO.3 昭和4年(1929年)1月


山田一彦 惡魔の影
山田一彦 海たち
山田一彦 寛大の喜劇
山田一彦 CINEMATOGRAPHE BLEU
山田一彦 二重の白痴 ou Double Buste
山田一彦 PHONO DE CIRQUE
山田一彦 無限の弓


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