雲のかたち  左川ちか  (詩ランダム)

 

雲のかたち

           左川ちか

高い波の銀色の門をおしあけて
行列の人々がとほる


くだけた記憶が石と木と星の上に
かがやいてゐる


皺だらけのカアテンが窓のそばで
集められ そして引き裂かれる


大理石の街がつくる放射光線の中を
ゆれてゆく一つの花環


毎日 葉のやうな細い指先が
地圖をかいてゐる。

 

 

 

 

『MADAME BLANCHE』第3号 昭和7年(1932年年)11月

 

 


左川ちか 白と黒
左川ちか 花咲ける大空に
左川ちか 春
左川ちか 冬の詩
左川ちか 目覚めるために
左川ちか 夢

 


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