夢
左川ちか
眞晝の裸の光のなかでのみ現實は崩壊する。すべてのものは銳く白い。透明な窓に脊を向けて、彼女は說明することが出來ない。只、彼女の指輪は幾度もその反射を繰返した。華麗なステンドグラス。虛飾された時間、またそれらは家を迂回して賑やかな道をえらぶだらう。汗ばんだ暗い葉。その上の風は跛で動けない。闇の幻影を拒否しながら私は知る。人々の不信なことを。外では鹽辛い空氣が魂を卷きあげてゐる。
『MADAME BLANCHE』第2号 昭和7年(1932年)7月
左川ちか 雲のかたち
左川ちか 白と黒
左川ちか 花咲ける大空に
左川ちか 春
左川ちか 冬の詩
左川ちか 目覚めるために