光の淵  小方又星  (詩ランダム)

 

光の淵

          小方又星

空は動いてやまない。
生命がそこに躍つてゐるのだ。

 

秋の空は
白熱の信仰に燃えてゐる淵だ。
太陽は見えないが
あの光つてゐる雲を讚美しよう。

 

實に寂かだ。
しかし、歡喜の絕頂だ。
白金の焰よ、
その坩堝で何を溶かしてゐるのだ。

 


『古典的な風景』抒情詩社 大正14年(1925年)

 


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