国会図書館デジタル・コレクション『花粉』の落丁頁にあるはずの「タバコ」を全集版をベースにアップしています。あと2つの詩は、他頁のデジタルコレクションから。
タバコ
井上多喜三郎
風が吹くたびにシヤツポをとるパイプ
風がくわえてゆくその小さなシヤツポは
こびとの國の 王様のシヤツポでした
手紙
ポストの巨離に キレイナお月さま
花瓣のやうに むしる手紙でした
驛
シロホンのやうに竝んでゐる木柵でした
石だたみには打水がしてあつた
リボンのやうに長い夕暮でした
※「驛」詩の「巨離」→「距離」、多分。
『花粉:井上多喜三郎詩集』(内藤政勝 1942) 『井上多喜三郎全集』(全集刊行会 2004)
井上多喜三郎 花粉
井上多喜三郎 言葉
井上多喜三郎 徑
井上多喜三郎 時間
井上多喜三郎 綴れない音信
井上多喜三郎 蜻蛉
井上多喜三郎 日曜 その他
井上多喜三郎 窓