瞳
Y子に贈れる……
林修二
音もなく溢れる紫色の靜謚
天使の羽音に開く紫の菫よ
甘き薔薇の香漂へる
清く和やかなる心の窓よ
その下に私は憩こう
蒼い靄にふるえる月の琴絃(いと)
安らかなる森の小鳥の夢
限りなき神秘と蒼き夢を湛えて
白く澄んだ美はしの湖水よ
その畔で私は石を探そう
「臺灣新聞・文藝欄」(1935年5月)
『林修二集』(臺南縣文化局 2000年12月)より。
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利野蒼 或ル朝 台湾 風車詩社
丘英二 星のない夜 台湾 風車詩社
戸田房子 遠い国 台湾 風車詩社