ガラスの肖像  中村千尾  (詩ランダム)

 

ガラスの肖像

       中村千尾
サウザンクロスの下で
生れた日を數へるように
小さな幸福が輝いてゐる
私の頰の冷たい夜


水晶のブランケツトの上に落ちた
一滴の涙のように
透明な日日を愛し
一つの新しい希望を記錄する


二月のシベリウス


星の音を聞くために
この靑銅のナイフを開く
それは私の胸にひらめき
帝国な一瞬を思はせる

 

 

 

 『現代女流詩人集』(山雅房 1940)より

 

 

中村千尾 朝のトレエニング

 


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