失踪するエロイカ 伊東昌子  (詩ランダム)

 

失踪(しつそう)するエロイカ

          伊東昌子

 

日暮れてモスリンが泡立ち


草の葉の胸に人魚がする人見知りは


聴き手たちの扇子をさへ


柔げはしなく


ロシアの風のやうに


帽子をとるシンデレラの目や耳は


あんまり綴りを間違へると云つては困つた

 

 

 


伊東昌子 海の方へ
伊東昌子 南方飛行便

 

 

詩ランダム