海と女體
光は 激しく海をおしつけ
海は いよいよ靑く
ひとびとはあけひろげられた遊びに
原始の魂を蘇生する
波をくぐり 波をくぐり
さらに熱砂に身を放つ
一群の生物
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新らしい膚は烈しい太陽にをののく
皮を射る赤外線
足にまつはるは さざなみ ニードル レース
爪は貝殻 軀幹は珊瑚 唇は朱きポリプ體
さては岩間のいそぎんちやく
波はひるがへる
ひるがへる靑い翼
女體は魚となり 水を切る
雲は空にあり 魚は水をくぐる
海いよいよ靑く
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烈しい沈默 そこにうごく世界外の實在
擴げられた キノ
夏の日の尨大な白日夢
あかるく あかるく
空へつらぬく虛無
女身はつひに溶けて一片のくらげである
『海の童話:詩を伴ふ版画連作』(版画荘 1934)より