蜻蛉
井上多喜三郎
靴みがきの大將は お天氣にまでブラシをかける
〈僕の足趾をとらへると のんきに口笛をふいて〉
スツールのまわりで いつも 香を噴く新英ら
となりの花屋が頰に映つて
僕を離れるネクタイでした。
※原詩では、「映つて」の「映」→「うつ」の振り仮名あり。
『MADAME BLANCHE』第12号 昭和8年(1933年)12月
井上多喜三郎 花粉
井上多喜三郎 言葉
井上多喜三郎 徑
井上多喜三郎 時間
井上多喜三郎 綴れない音信
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井上多喜三郎 窓