2019-11-04から1日間の記事一覧

ドミ・レエヴ 水蔭萍 (詩ランダム)

ドミ・レエヴ 水蔭萍 1.黎明は劇しい吹雪から七日の月光を 吸つてしまつた。 音樂 と繪畫と詩の潮の音は天使の協音がした…… 音樂に於ける僕の理想はピカソのギタアの音樂だ。 黃昏と貝殼の夕暮。 ピカソ、十家架上の畫家。肉體の思惟。肉體の夢想。肉體のバ…

臨終 利野蒼(李張瑞) (詩ランダム)

臨終 利野蒼 寒さに凍えた病院の一室でSは臨終であった。Sは僕に云った。……私は神奈子を愛した……と唇の激しいケイレンを感じて私は椅子から立上った。ドア口で盛装した神奈子が狡く笑ってゐる。その表情を拂ひ退ると私は廊下の窓辺に寄り沿って高価な支那製…

セエター 利野蒼(李張瑞) (詩ランダム)

セエター ─罪深い恋情─ 利野蒼 窓から赤い煉瓦の病院が見える。太陽を避けるために私はカーテンを引く。 おばさんは咳をする。おばさんは病んでゐる。力ない優しい眼差が私を悲しませる。私は編棒と美しい手を見てゐる。私のセエターが出来上る時分、私はお…

或ル朝 利野蒼(李張瑞) (詩ランダム)

或ル朝 利野蒼 私ハ陽光ノ中二立ツテキタ 黒イ私ノ影法師カラ セピア色ノ影ガ流レタ 淡イ喜ビハぱいぷノ響デアツタ らうそくノ光デらうそくノ光リト僕ノ万年筆哀レナ影ノドヨメキヲ拙ナキいんくノ汚ミヲ 友ヨ 窓辺に忍ビ寄ル 春ノ疫レト古風ナ日記ノカケラヲ…