2017-05-01から1ヶ月間の記事一覧

モダニズム短歌  目次

明石海人『白描』 飯田兼治郎 筏井嘉一『荒栲』Ⅰ 筏井嘉一『荒栲』Ⅱ 石川信雄『シネマ』Ⅰ 石川信雄『シネマ』Ⅱ 石原純 井上多喜三郎 上田穆 Ⅰ 上田穆 Ⅱ 太田靜子 小笠原文夫『交響』Ⅰ 岡松雄『精神窓』Ⅰ 岡松雄『精神窓』Ⅱ 岡松雄 履歴その他 加藤清 加藤克…

中田忠夫  (モダニズム短歌)

・さるにても遠き月日よあまざかるIRANの空に馭者座(カペラ)がまはりし ・遠くにて銀河のめぐる夜々(よよ)となり魚(うを)の目玉にガラス植ゑらる ・牛追へば白き月いでぬ郷愁よ樹々を吹く風に言葉はならず ・かぎりなく散るは鱗翅か秋なれば窓に硝子の波紋も…

田島とう子  (モダニズム短歌)

・屋上のともしき土に誰(た)が植ゑし鳳仙花のはなこぼれてやまず ・月にさへかくれまほしくせし秋のいたきおもひはわが影となりぬ ・逝く秋のひと夜のをごりセロ聞くと好きなる衣(きぬ)をとりいだしたり ・ひとも無く會場もなく音律のながれにひたりてわれさ…

明石海人『白描』  (モダニズム短歌)

・大空の蒼ひとしきり澄みまさりわれは愚かしき異變をおもふ ・蒼空の澄みきはまれる晝日なか光れ光れと玻璃戸をみがく ・蒼空のこんなにあをい倖をみんな跣足で跳びだせ跳びだせ ・掻き剥がしかきはがすなるわが空のつひにひるまぬ蒼を悲しむ ・涯もなき靑…

平田松堂『木苺』  (モダニズム短歌)

・山の下へ下へ下へとなびかふも靑海の上の一面の茅 ・斷層の幾番目にか殘る陽あたりその日當りの直きにうごけり ・道のべのしらやま菊の白花は往けども往けどもこの花咲けり ・夕しづの湖には動く雲のありて島にはわたるあざやかに見ゆ ・水際の夕木(ゆふぎ…

田中火紗子『土塊』Ⅰ (モダニズム短歌)

・さびしく 水線から空に すでに歴史へくらました思慕 ・紅(あか)く 晝顔みたいにおろかに 何が これほど纏綿と つながるのかしら ・潮が鳴り 潮どきの あでやかすぎる自負のまんまで ・さるすべりが咲いた、溫度たかく 濃く 赤く ・とめどなくむらがり、炎…

高須茂  (モダニズム短歌)

・底知れぬ深さの中にかかりゐる地球を思へり天幕の中に ・ラテルネにルツクサツクが映(うつ)りをりわがピツケルを磨き了へし時に (ラテルネ=手提げランプ) ・うつさうと茂れる大樹(たいじゆ)の上にきて月の光はまつさをとなる ・極地天幕張りてわれらにこと…