2017-05-02から1日間の記事一覧

田中火紗子『土塊』Ⅰ (モダニズム短歌)

・さびしく 水線から空に すでに歴史へくらました思慕 ・紅(あか)く 晝顔みたいにおろかに 何が これほど纏綿と つながるのかしら ・潮が鳴り 潮どきの あでやかすぎる自負のまんまで ・さるすべりが咲いた、溫度たかく 濃く 赤く ・とめどなくむらがり、炎…

高須茂  (モダニズム短歌)

・底知れぬ深さの中にかかりゐる地球を思へり天幕の中に ・ラテルネにルツクサツクが映(うつ)りをりわがピツケルを磨き了へし時に (ラテルネ=手提げランプ) ・うつさうと茂れる大樹(たいじゆ)の上にきて月の光はまつさをとなる ・極地天幕張りてわれらにこと…