2020-03-09 郷愁の冬 丘英二(張良典) (詩ランダム) 鄕愁の冬 丘英二 蟻の巢くつて皮のはげかかつた枯木の枝の草庵に病痾を橫たへた老人の溜息に似た震慄の滾々と流れる哀情を溢らして奏で續ける愁絕な葬禮曲をきく僕は敗殘の身に託し處を求めて疲勞と辛苦に咽ぶ流浪者の追想と絕望との人生のパイプをくゆらしてめつきり痩せて出た月を見る鄕愁の酩酊者。 1935.1.30 「臺灣文藝」第2巻第4号(昭和10年(1935年)4月)臺灣文藝聯盟編輯 東方文化書局刊 復刻本より 詩ランダム