悲しき恋  西條成子  (詩ランダム)

 

悲しき戀

            西條成子

白い一片のハンカチイフは風に舞つて
森の奥の靜かに靑む沼の面に落ちたのです
そこは若葉がゆれゆれて
駒鳥は唄ふ晩春でしたが
やがて靑白く染つてハンカチイフは
底知れぬ沼の暗さに沈んで行つたのです

 

 

『MADAME BLANCHE』第7号 昭和8年(1933年年)6月

 


西條成子 青き絵筆に
西條成子 雲
西條成子 独楽
西條成子 再会
西條成子 策取
西條成子 花見酔客
西條成子 プリズムの夢

 


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