花咲ける大空に
左川ちか
それはすべての人の眼である。
白くひびく言葉ではないか。
私は帽子をぬいでそれ等をいれよう。
空と海が無數の花瓣をかくしてゐるやうに。
やがていつの日か靑い魚やばら色の小鳥が私の頭をつき破る。
失つたものは再びかへつてこないだろう。
※原詩では「花瓣」→「はなびら」の振り仮名あり。
『MADAME BLANCHE』第6号 昭和8年4月
左川ちか 雲のかたち
左川ちか 白と黒
左川ちか 春
左川ちか 冬の詩
左川ちか 目覚めるために
左川ちか 夢