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岡松雄『精神窓』Ⅱ (モダニズム短歌)

・深海(しんかい)に靑い眼玉の魚と住めばフランス少女がまばたきをする 

・海底の魚族らと萬年いがみあへど碧い眼玉は憎むことなき 

・不思議にも靑い星空に眸がすめばヴアイオリンの曲がながれくるなり

・なんとなんと五つの指がのびのびと靑き植物に觸れてゐるなり 

・娘らの帯からぬけでた花や蝶が舞へば明るき春の街なり 

・つつましく天使が春の花束をわが室訪へばもう春であり 

・靑靑と樹樹が春装をこらすゆゑ猿(ましら)のごとくわれかけのぼる   

・樂の音が次第に近づき春ひらき額は朝あけの霞む野にあり 

・眉けはしく窓對(む)きゐるわが顔がもう餓鬼のやうににこにこ饒舌る

・春風を胸から頬にわが觸れれば追憶のごときやさしき旗風 

・目から耳口を浄めて神となれば花や小鳥にかこまれてゐる 

・春なれば循環線に頬さらし小猫のごとくこころゆるすもよし 

・虚空をかけめぐりゆくわがこころ花か蝶か掌(て)にひらひらうつる

・春園に小犬のごとく駈けめぐるこころは餓鬼かわれゆるすのです 

・霧ふかい野にひざまづき額をあげればひらひらと心野をかけめぐる 

・彼方の緑の丘にそびえ立つ赤き塔ほどのはれやかさもとむ 

・パラソルのやうにまるき位置占めし海濱にたわむる少女らをみる 
     


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