赤い作曲  石野重道  (稲垣足穂の周辺)

『彩色ある夢』1983年版より 

 

深夜 モモ色のカーテンを窓におとして、未来派の作曲者L・O氏は、ピアノの前に居るXXXX


古への、サラセン帝国の蒼空と尖塔に乱れて、深紅のストツキングが、騒音と、怪韻に舞踊をする
 無数の音彩が、正乱として不正のうちに凝りつゝ──ギン色の月に、一杯になるとXXX、
 月は静に柔かく 星の彼方に狂ほしくも美しく、白いひかりをたれて居る


──サラセンの星月夜
白馬にエビ茶の帽子の王様が、赤い服をきて、──豆の精やヒナゲシの実や フエアリーや、
コボルトをともなつて、月に向つて馬を走らせる


L・O氏は、立ち上つて、ムラードを口にくはへて煙を吐いたのである──

 

 

 

 石野重道「廃墟」
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石野重道「キヤツピイと北斗七星」
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石野重道「聳ゆる宮殿」

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