CINEMATOGRAPHE BLEU
山田一彦
雨のふる虛飾的の夕暮に噴水のある泉のレダが白鳥に乗つて居るあの頭をみてごらんなさい・彼女の聲を聞いてごらんなさい・
エレエヌよ・
雨のふらないことと雨のふらないことほど愛することと愛することは違つて居る・
エレエヌよ・
お前は窓の下の影を愛するパラソルをささない金魚である・お前がひとつの釦を間違へたらかならず三番目の釦は合はない・
靑い髪のレダのためのエレエヌは靑い錨の下の厚い帽子をつけたBUSTEとBAGAMIEを企てるために巧みに白粉刷毛で黑と白を間違へさせる・
雨のふる靜かな夜の海をパリスはヴエヌスの林檎をつけた釣竿を垂れ鶯を釣らうとしてモオタアボオトをすべらせる眼鏡をはづした鏡附の部屋で化粧するパリスである・
『衣裳の太陽』NO.2 昭和3年(1928年)12月
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