タイプ(Ⅱ)  酒井正平  (詩ランダム)

酒井正平には「タイプ」という題の詩がいくつかあるようで、検索の都合上この詩を「タイプ(Ⅱ)」とした。諒とされたい。

 

 

タイプ(Ⅱ)

            酒井正平
若しも あるとしたら

ユリの如く さむさにふるえ

思ひだした

クラブのテラスで まづいスマツクを

嚙つた

ツバメがまたきて 町を

 

ちいさくし せのびをして

エジプトの組織學を話した

天文學ではなく そらのハナシで

あつた   いゝえあれは 三十男の

ナポリですからと まぜかへした

短いトゲの様なバスケツトで 市場の

旗の下をあるいた…………

 

 


『20世紀』第7号 昭和11年(1936年)7月

 

 

酒井正平 画布に塗られた陰について
酒井正平 航海術
酒井正平 肢
酒井正平 説話
酒井正平 その日に聞かう
酒井正平 タイプ
酒井正平 天文
酒井正平 七日記
酒井正平 果たして泣けるかについてきみは知らない
酒井正平 窓
酒井正平 洋服店の賣子など

 

 

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