Echo's Post-mark
乾直惠
銀鼠色の手袋が、ぼくに强ひる。
──もつとランプの芯をお攪き立て ! と。
光にみちたその芝園で、
ぼくは幾枚もレタア・ペイパアを書きほぐす。
あなたはぼくの脚もとから、
ほろほろ崩(こぼ)れる、砂丘のやうに。
そして、花が咲いても、
櫻の樹の下のポストの唇(くち)は冷たいだけだ !
『花卉』(椎の木社 1935)より
乾直恵 朝は白い掌を
乾直恵 神の白鳥
乾直恵 菊
乾直恵 極光
乾直恵 睡れる幸福
乾直恵 鮠
乾直恵 光の氷花
乾直恵 村