このブログ作成に関してオーテピア図書館(県立図書館や市民図書館だった頃から)の若くて優秀な司書さん達に御協力戴きました。司書さん達の適切なアドバイスやインスピレーションのおかげでこのブログが出来た、というより、その方達がいなければこのブログは生まれていなかったと痛感しています。感謝。
酒井正平
指頭にでゝ馬の様に笑ふ。果實の中で他人の花をまちがへる。オトトヒそれは路で野望をいだいた。何故(な)かバイソンを愛さなかつた。ロヂツクの時間女學生達は草むらで寢てゐた。「センセイハ主知主義者デイラツシヤイマス」
『MADAME BLANCHE』第14号 昭和9年(1934年)3月
酒井正平 温雅なる作謀に付いて
酒井正平 画布に塗られた陰について
酒井正平 航海術
酒井正平 肢
酒井正平 説話
酒井正平 その日に聞かう
酒井正平 タイプ
酒井正平 タイプ(Ⅱ)
酒井正平 天文
酒井正平 七日記
酒井正平 果たして泣けるかについてきみは知らない
酒井正平 窓
酒井正平 窓Ⅱ
酒井正平 洋服店の賣子など
伊東昌子
夢々を駭かしては
洋燈を灯して沖へ歸らう
永い旅のあとのように
林檎の花が燃える
お午過は家禽たちの葬式
を見てゐる
『MADAME BLANCHE』第17号 昭和9年(1934年)8月
酒井正平
季 節
畵廊について鶴があるいた しかし それは戀人たちよりも少なかつた 手をひらいて窓をあけた ケイトウの裏側に 算用數字がかいてある
類 似 譚
太陽の 奔發 ! だけど 路には よつちや いない 片側に 倚せながら あたしは 倒さにも 横にも ピンの姿にも 別れる
兩 手
帽子を ぬいで 王后の 前に やつて きた時 白い 鳥が おちて ゐた 只 それだけの ひみつだと思ひ ながら
花 の 顏
花屋の様に開店する その意味があなたをそだてまいと 花屋はあなたを求めない 正しい時間に ! 舞台では花がおつこちる !
一 色
風ん中に僕が生きて來た たとへられた物語りの様に風破に耐へて人を呼んだ しるべある喪失を型取りながら 球體のあちら側へ楓の様に路を折れた
瞳
過失的な要路です 僕達に付いて燈火は又ほころびる 栽量的な役割を演ずるのは勞働性よりも基本性に富んでゐたからです ロオズイワアルドと手に畵いて 植物性の憂慮を此處に見て
窓
テンキの良い日 街に落ちた メイメイの日和がツリウキ草を飾つた 街に着物が見えた 人の手に花が咲いた アンズの陰でプロフェツトが死んだ 時計を持つて容易しい 顏をしてゐた 聖像商人の午后 唄を唄ひながら上つた……靑葉にぬれた貝を記憶だと思つて步いた
『MADAME BLANCHE』第13号 昭和9年(1934年)2月
酒井正平 画布に塗られた陰について
酒井正平 航海術
酒井正平 肢
酒井正平 説話
酒井正平 その日に聞かう
酒井正平 タイプ
酒井正平 タイプ(Ⅱ)
酒井正平 天文
酒井正平 七日記
酒井正平 果たして泣けるかについてきみは知らない
酒井正平 窓
酒井正平 窓Ⅱ
酒井正平 洋服店の賣子など
西崎晋
あの優しさの紫の花には緣飾りがあつて
けふあのひとの瞳をわすれる
流れの中にゐた水よ
靜かにおりてくる夜の微笑や
けもの達の群にもちかく菫は生れてゐたやうに
水中植物には
星くづが墜ちてゐます
泡たつ白のイペカはいかがです
醉つたふりして悲劇の水に這入れるやうに
莊原照子
襞がある手 夜々を支へる白い門扉 薔薇旗をすて去つた休息の巡邏が この冷ややかな立像の素足へ灰をふりこぼすと そこから無數の熱い夢が飛沫となつて生誕する……憐愍は漂ふ犬橇の鈴の音(ね)に耳環を漂らし乍ら かく散り呼ぶ 失意の灯(ほ)かげを視た……。